- 健康・ライフハック
- 2025年11月18日
【東洋医学の知恵】なぜ、風邪は“汗をかいた後”に引くのか?「体表バリア」のメカニズムと、自分で押せる“予防のツボ”
お風呂上がりに、うっかり薄着でいて「ゾクッ」とした瞬間。スポ……

りんごがおいしい季節になりました。
ところが、
生のりんごをかじると、口の中や喉がイガイガする。唇がピリピリかゆくなる。なんだか具合が悪くなる。それなのに、焼きりんごやアップルパイなら、なぜか平気。
実は、とろLaboの管理人もそのひとりです。いただいたりんごを前に、「生では食べられないけれど、加熱すれば大丈夫」という自分の体の不思議を、あらためて調べてみることにしました。
この不思議な現象には、ちゃんとした名前と仕組みがあります。この記事では、生のりんごで口がかゆくなる「花粉食物アレルギー症候群」の正体と、加熱すると平気になる理由を解説します。
さらに後半では、東洋医学が体の中の「いらないもの」をどう外に出すと考えてきたのか、つまり東洋医学版の「解毒」と「排泄」の考え方と、アレルギーに反応しやすい体質のとらえ方もご紹介します。
※この記事は、症状の仕組みを知るための情報です。診断や治療については、アレルギー科などの医療機関に相談してください。
生の果物や野菜を食べた直後に、唇や口の中、喉にかゆみやイガイガ、腫れが出る。このような症状を、「花粉食物アレルギー症候群」、または「口腔アレルギー症候群」と呼びます。
名前に「花粉」とついているとおり、もともとの原因は、食べ物ではなく花粉にあります。
花粉症の人の体には、花粉に含まれるたんぱく質を「敵」とみなして攻撃する仕組み(抗体)ができています。
ところが、一部の果物や野菜には、その花粉のたんぱく質と形がよく似たたんぱく質が含まれています。すると体の免疫は、果物のたんぱく質を花粉と取り違えて、攻撃を始めてしまうのです。これを「交差反応」といいます。
食べ物が最初に触れるのは、唇や口の中、喉です。だから、症状もまず口のまわりに出ます。
りんごと特に関係が深いのが、シラカンバ(シラカバ)やハンノキなどカバノキ科の木の花粉です。
これらの花粉症がある人は、りんごのほか、もも、なし、さくらんぼなどのバラ科の果物や、豆乳などでも症状が出ることがあります。りんごの主なアレルギーのもとになるたんぱく質(Mal d 1)は、シラカンバ花粉のたんぱく質(Bet v 1)とよく似ていて、海外の資料では、シラカンバ花粉に反応する人の7割以上が、りんごにも反応すると紹介されています。
なお、花粉が飛ぶのは春ですが、果物で症状が出るのは一年中です。「春の花粉症はないのに、なぜ?」という人も、軽い花粉への反応を自覚していないだけの場合があります。

ここが、いちばんの不思議ですよね。
答えはシンプルで、りんごのアレルギーのもとになるたんぱく質(Mal d 1)は、熱にとても弱いからです。
たんぱく質は、熱を加えると形が崩れます。卵を加熱すると白く固まるのも、たんぱく質の形が変わるためです。りんごのたんぱく質も、加熱で形が崩れると、免疫が「花粉と同じ形だ」と見分けられなくなります。だから、焼きりんごやジャム、アップルパイなら、症状が出にくくなるのです。
カバノキ科の花粉に関係するたんぱく質は、熱だけでなく消化酵素にも弱いため、症状が口の中だけで済むことが多い、とされています。
一方で、果物アレルギーの中には、加熱しても壊れにくいたんぱく質が原因になるタイプもあります。たとえばりんごの皮に多い「Mal d 3」というたんぱく質は、とても安定していて、じんましんや腹痛、アナフィラキシーなど全身の症状につながることがあります。
また、スギやヒノキの花粉に関係する果物アレルギーでは、口の症状は少ないのに、全身の重い症状が出る場合があるとも報告されています。
「加熱すれば絶対に大丈夫」と自己判断するのではなく、一度アレルギー科で、どのタイプなのかを確かめておくと安心です。
花粉食物アレルギー症候群は、口の中だけの軽い症状で済むことが多いアレルギーです。ただし、次のような症状が出たときは、すぐに医療機関を受診してください。
喉の腫れや息苦しさは、アナフィラキシーという重い反応のサインかもしれません。迷ったら救急車を呼んでください。
また、症状が軽くても、「どの果物や野菜で起こるのか」「加熱すれば食べていいのか」は、人によって違います。血液検査や皮膚テストで原因を確かめられるので、気になる人はアレルギー科で相談してみましょう。
ここからは、東洋医学の視点で見てみましょう。
アレルギーの話になると、「体に毒がたまっているから」「デトックスしなきゃ」という言葉をよく耳にします。けれど、花粉食物アレルギーの直接の原因は、ここまで見てきたとおり、免疫が花粉と果物を取り違える反応です。体に毒がたまる病気ではありません。デトックスをすれば治る、というものでもありません。
それでも、「体の中のいらないものを、どう外に出すか」という考え方は、東洋医学にもしっかりあります。ただし、西洋医学とはずいぶん違う形で。
西洋医学では、体にとって不要なものや有害なものを処理するのは、主に肝臓と腎臓の仕事です。
一方、東洋医学では、体の中のいらないものは、主に3つの「出口」から外に出ていくと考えます。
| 出口 | 担当する臓腑 | 働き |
|---|---|---|
| 汗 | 肺(皮膚・毛穴) | 体表の門(腠理)を開け閉めし、汗とともに余分な熱や邪気を外に出す |
| 尿 | 腎・膀胱・三焦 | 体の水の通り道(三焦)を通ってきた不要な水を、腎の力で尿に変え、膀胱から出す |
| 便 | 脾胃・大腸 | 食べ物から必要なものを取り出したあとの残りかすを、大腸から出す |

東洋医学の古典『黄帝内経』には、体の水が、胃から脾へ、脾から肺へ、そして肺から全身に巡り、最後は膀胱へと降りていく、という流れが書かれています。
飲入於胃、遊溢精気、上輸於脾、脾気散精、上帰於肺、通調水道、下輸膀胱
(飲んだものは胃に入り、その精気は脾へ運ばれる。脾はそれを肺へと送り、肺は水の通り道を整えて、膀胱へと下ろす)
――『素問』経脈別論
つまり東洋医学では、体の「浄化」は、どこかひとつの臓器の仕事ではありません。脾(胃腸)・肺・腎が連携して、水と不要なものを巡らせ、汗・尿・便として外に出していく、ひとつの大きな流れとして考えられているのです。
おもしろいのは、西洋医学で解毒の主役である肝臓が、東洋医学のでは主役ではないことです。東洋医学の肝は、気や感情の流れをスムーズにする役割(疏泄:そせつ)が中心で、「毒を分解する臓器」とは考えられていません。同じ「肝」という漢字でも、指しているものがずいぶん違うのです。
では、この流れが滞ると、どうなるのでしょうか。
脾(胃腸)の働きが弱ったり、冷たいものや生ものをとりすぎたりすると、体の水がうまく巡らず、行き場を失ってたまっていきます。たまった水はやがてドロドロに煮詰まり、「湿痰(しったん)」と呼ばれる病理産物になります。
東洋医学では、昔から「脾は痰を生む源、肺は痰をためる器」といわれます。出口から出られなかった不要なものが、体の中でヘドロのようにたまった状態。これが、東洋医学版の「たまった毒」に近いイメージです。
なお、東洋医学でいう「毒」は、ふつうは熱や湿などの邪気が強く集まり、こじれたものを指します。漢方には「清熱解毒(せいねつげどく)」、つまり熱を冷まして毒を消す、という考え方がありますが、これも西洋医学の「肝臓で薬物を分解する」とは別のものです。
東洋医学には、「アレルギー」という病名はありません。けれど、同じものに触れても反応する人としない人がいることを、体質の違いとして考えてきました。
東洋医学では、口や唇は脾(胃腸)の状態が表れる場所と考えます(「脾は口に開竅する」)。食べ物で口の中がかゆくなる、唇が腫れるといった症状は、東洋医学的に見ると、脾の守りと深く関わる場所に出ている、ともいえます。
東洋医学では、急に起こって急に引くかゆみを「風(ふう)」、腫れやむくみ、ジュクジュクした症状を「湿(しつ)」の性質として見立てます。
そして、体の中に湿痰がたまりやすい人は、外からの刺激に対しても、鼻水や痰、むくみ、湿疹のジュクジュクなど、「湿っぽい」反応が出やすいと考えられてきました。また、体表の門番(衛気)が弱い人は、外からの刺激に反応しやすいとも考えます。
これは、あくまで東洋医学の伝統的な見立てで、「湿痰をなくせばアレルギーが治る」という意味ではありません。ただ、自分の体質を知って、胃腸をいたわり、体の巡りを整えておくことは、アレルギーの治療とは別に、日々の体調管理として役に立ちます。
ちなみに、東洋医学でりんごは、体の熱を冷まし、潤いを補い、胃腸を整える果物とされています。ただ、体を冷やす性質(涼性)があるので、冷えやすい人や、胃腸が弱っている人が生で食べすぎると、脾を冷やす原因になります。
加熱すると、この冷やす性質はやわらぎ、胃腸にやさしい食べ物に変わります。冬の寒い時期に、温かい焼きりんごやりんごのコンポートを食べるのは、アレルギーの面だけでなく、東洋医学の養生の面から見ても、よい食べ方なのです。

生のりんごで症状が出る人でも、しっかり加熱すれば楽しめることが多いです。ただし、加熱したりんごでも違和感が出たら、すぐに食べるのをやめてください。
シナモンは、東洋医学では体を温める生薬(桂皮)の仲間です。
冷蔵庫で3〜4日もつので、りんごが2つあるときにまとめて作っておくと便利です。ヨーグルトやオートミールにのせても、おいしく食べられます。
※加熱が足りないと、症状が出ることがあります。中まで透き通るくらい、しっかり火を通しましょう。
「生では食べられないから、りんごはあきらめる」必要はありません。自分の体の仕組みを知って、温かいりんごで、冬の味覚を楽しんでください。