
「五行論(ごぎょうろん)」という言葉、耳にしたことはありますか?
もしかしたら、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。でもこの「五行論」は、漢方薬などでもお馴染みの東洋医学の考え方の、まさに基本中の基本となる、とっても大切な柱の一つなんです。
以前、「とろLabo」でもご紹介した「陰陽論(いんようろん)」と双璧をなす、奥深くて面白い思想なんですよ。
(陰陽論について「まだよく知らないな」という方は、ぜひこちらの記事も読んでみてくださいね!
この記事では、そんな「五行論」の基本的なエッセンスを、できるだけ分かりやすく、そして「へぇ、そうなんだ!」と楽しんでいただけるようにお伝えしていきたいと思います。この記事を読み終える頃には、きっとあなたが東洋医学の世界に、ほんの少しでも親しみを感じ、その智慧に触れる喜びを感じていただけると信じています。
Q1. 「五行論」って、そもそもどんな考え方なの?
はい、お答えします!
ざっくりと、本当にざっくりとご説明すると、「この世界のさまざまな物事や現象を、『木(もく)・火(か)・土(ど)・金(ごん)・水(すい)』という5つの基本的な要素(性質・エネルギー)に当てはめて整理し、それぞれの関係性やバランスから全体像を捉えようとする考え方」と言えるかもしれません。
「え、なんだか難しそう…」と思いましたか?
大丈夫です!ここで一つ、皆さんに身近なもので例えてみましょう。
例えば、「星座占い」。私たちは、誕生日から自分の星座を知り、「〇〇座の人は、こういう性格の傾向がある」といったイメージを持つことがありますよね。
五行論も、この「型に当てはめて考える」という点では、少し似ているところがあるかもしれません。
しかし、大きな違いがあります。それは、五行論が、
「世の中のあらゆる物事や、私たち人間の中には、これら5つの要素全てが内包されていて、その時々の状況や状態によって、それぞれの要素のバランスや、表に出てくる現れ方がダイナミックに変化していく」
と考える点です。
ある人は基本的には「木」の性質が強く表に出やすいけれど、時には「火」のような情熱的な一面が顔を出したり、またある時には「水」のような柔軟性で物事に対応したりする…といったように、常に一定ではなく、移り変わっていくバランスの中に、その人らしさや物事の本質を見出そうとするのが、五行論の考え方なんです。
なんだか、奥が深そうですよね?
でも、この「五行」というフィルターを通して世界を眺めてみると、これまで気づかなかった面白い発見や、日々の生活を豊かにするヒントがたくさん見つかるかもしれませんよ。
さあ、一緒に「五行論」の扉を開いてみましょう!
Q2. 「木・火・土・金・水」の5つの要素には、それぞれどんな特徴やイメージがあるの?
はい、この5つの要素は、単に物質としての木や火を指すだけでなく、それぞれが持つ独特の性質や働き、そしてそれらが象徴する様々なものを表しています。一つ一つのキャラクターの個性を知るような気持ちで、見ていきましょう!
- 木(もく)~成長と柔軟性の象徴~
- 性質: 成長、上昇、発育、伸びやかさ。
- イメージ: 地に根を張り、太陽に向かってぐんぐん伸びていく樹木のイメージです。枝葉を広げ、時には障害物をしなやかに避けながらも、常に上へ上へと成長していく、春の芽吹きのような力強いエネルギーを持っています。
- 火(か)~情熱と活発さの象徴~
- 性質: 温熱、上昇、明るさ、積極性。
- イメージ: パチパチと音を立てて燃え盛る炎のイメージです。周囲を明るく照らし、熱を発しながら、常に上へ上へと昇っていく、夏の太陽のようなパワフルなエネルギーです。
- 土(ど)~安定と育成の象徴~
- 性質: 受容、育成、安定、蓄積。
- イメージ: あらゆる生命を育み、どっしりと構える大地のイメージです。様々なものを受け入れ、栄養を与え、そして次の季節へと繋げていく、安定感と包容力に満ちたエネルギーです。
- 金(ごん)~収斂と鋭さの象徴~
- 性質: 清浄、粛降(しゅくこう:引き締めて下ろす)、収斂(しゅうれん:集めて引き締める)。
- イメージ: 土の中から掘り出され、磨かれることで鋭い輝きを放つ金属や宝石のイメージです。秋の澄み切った空気のように、不要なものをそぎ落とし、物事を引き締めて区切りをつける、クールでシャープなエネルギーを持っています。
- 水(すい)~潤いと知恵の象徴~
- 性質: 寒冷、下降、潤い、静けさ、貯蔵。
- イメージ: あらゆる形に姿を変え、高いところから低いところへと流れ、全てを潤す水のイメージです。冬の静けさの中で、じっと生命エネルギーを蓄え、次の春に備える、そんな静かで、しかし底知れない力強さを秘めたエネルギーです。
Q3. これらの五行は、私たちの身の回りのものと、どう関係しているの?
はい、五行論の面白いところは、先ほど説明した5つの性質を「ものさし」として、自然界の様々な現象を分類し、その繋がりを解き明かしていく点にあります。その分類表の一つが「五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」と呼ばれるものです。
ここでは、そのほんの一例をご紹介しますね。
五行 | 木(もく) | 火(か) | 土(ど) | 金(ごん) | 水(すい) |
---|---|---|---|---|---|
季節 | 春 | 夏 | 土用※ | 秋 | 冬 |
方角 | 東 | 南 | 中央 | 西 | 北 |
気候 | 風 | 暑 | 湿 | 燥 | 寒 |
色 | 青(緑) | 赤 | 黄 | 白 | 黒 |
味 | 酸っぱい | 苦い | 甘い | 辛い | しょっぱい |
感情 | 怒 | 喜 | 思 | 悲・憂 | 恐・驚 |
(※土用:各季節の終わりの約18日間を指します)
このように見ると、例えば「春」という季節は、万物が芽吹き成長する「木」の性質を持ち、気候は「風」が強く、色は若葉の「青(緑)」で象徴される…といったように、色々なものが繋がって見えてきませんか?
東洋医学では、これに加えて私たちの体の働き(五臓六腑)も五行に分類し、心身のバランスを読み解いていくんですよ。(このお話は、また別の機会に詳しく…!)
【今日のまとめ】五行という「ものさし」で、世界を面白く見つめてみよう!
「五行論」という東洋医学の考え方が、少しでも身近に感じていただけたでしょうか?
難しく考えずに、まずは「へぇ、こんな風に世界を分類する見方もあるんだな」と知っておくだけでも、ご自身の体調の変化や、季節の移り変わり、そして日々の食事や感情のあり方について、新しい発見があるかもしれません。
この五行論の本当に素晴らしいところは、単なるタイプ分けではなく、私たちの中に存在する5つの要素のバランスを見つめ直し、その時々で最適な調和を目指す視点を与えてくれる点にあります。
この「五行」という「ものさし」が、あなたの毎日をより豊かに、そして健やかに過ごすための、素敵なヒントになることを願っています。
「とろLabo」は、これからもあなたの「心も体も頭も健康に」を、応援しています!