メラトニンとは?概日リズムと深部体温を制御する「松果体ホルモン」の生理学
はじめにメラトニン(Melatonin)とは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるインドールアミン系のホルモンです。一般的に「睡眠ホルモン」として知られていますが、その生理学的な本質は、単なる催眠作用ではなく、光環境に応じて生体の時間軸を調整する「概日リズム(サーカディアンリズム)の制御因子」としての機能にあります。 日中の光によって分泌が抑制され、夜間の暗闇によって促進されるという特性から、別……
はじめにメラトニン(Melatonin)とは、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるインドールアミン系のホルモンです。一般的に「睡眠ホルモン」として知られていますが、その生理学的な本質は、単なる催眠作用ではなく、光環境に応じて生体の時間軸を調整する「概日リズム(サーカディアンリズム)の制御因子」としての機能にあります。 日中の光によって分泌が抑制され、夜間の暗闇によって促進されるという特性から、別……
はじめにアセチルコリン(Acetylcholine: ACh)とは、中枢神経系(脳)および末梢神経系(体)の双方で機能する、代表的な神経伝達物質です。1914年に発見された「世界初の神経伝達物質」であり、生理学的には、体に対しては「副交感神経」の主要物質として休息をもたらす一方、脳内では「覚醒」や「認知機能(記憶・学習)」を促進するという、部位によって異なる作用を持つことが特徴です。 一見相反する休……
はじめに海馬(かいば|Hippocampus)とは、大脳辺縁系の一部であり、新しい記憶の形成(固定化)や、空間的なナビゲーション能力に関わる脳器官です。脳の中で唯一、「大人になっても新しい神経細胞が生まれ続ける(神経新生)」という特殊な性質を持つ部位として知られており、記憶学習だけでなく、メンタルヘルスや認知症予防の観点からも極めて重要な役割を担っています。1. 【定義と構造】脳深部のタツノ……
はじめにオキシトシン(Oxytocin)とは、脳の視床下部で作られ、下垂体から分泌されるペプチドホルモンの一種です。他者とのスキンシップや信頼関係によって分泌され、安らぎや幸福感をもたらすことから、通称「愛情ホルモン」や「抱擁ホルモン」と呼ばれます。 しかし、近年の研究では、オキシトシンには仲間意識を強める一方で、部外者に対する「攻撃性」や「妬み」を増幅させるという、意外な「裏の顔(ダークサイド)」……
はじめに大脳辺縁系(Limbic System)とは、大脳の深部に位置し、人間の「情動(喜怒哀楽)」、「意欲」、「記憶」、そして「自律神経活動」に関与する複数の脳領域の総称です。進化の過程で古くに発達した部位であることから「古い脳」や「哺乳類脳」とも呼ばれます。 理性を司る「大脳新皮質」とは対照的に、私たちの生存に直結する本能的な衝動を生み出す源泉であり、人間理解において最も重要なシステムの一つです……