- とろLabo用語集
- 2025年5月28日
【DMN】“ぼんやり脳”の秘密?「デフォルトモードネットワーク(DMN)」って何してるの?【とろLabo用語集 Vol.2】
「なんだか最近、頭が疲れている気がする…」「ぼーっとしている……
「最近なんだか気分が晴れない…」
「理由はないけど、なんとなく不安な気持ちになることが多い…」
「集中力が続かないし、なんだか体もスッキリしない…」
あなたは今、こんな風に、言葉にしにくい漠然とした心身の不調を感じていませんか?
もしかしたら、その原因は意外な場所…そう、あなたの「腸」にあるのかもしれません。
近年、医学や脳科学の世界で大きな注目を集めているのが「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」というキーワードです。これは、私たちの腸と脳が、互いに密接に情報をやり取りし、影響を与え合っているという、驚くべき関係性を示す言葉です。
この記事では、「腸脳相関って一体何?」「私たちの心や体にどんな影響があるの?」そして「腸内環境を整えるにはどうすればいいの?」といった疑問に、このテーマに初めて触れる方にも分かりやすくお答えしていきます。この記事を読み終える頃には、あなたの心と体の健康に対する新しい視点が開け、「なんだかスッキリしない」毎日から抜け出すための、具体的なヒントが見つかるかもしれませんよ。
最近よく耳にする「腸脳相関」。一体どういう意味なのでしょうか?
腸脳相関とは?~その基本的な定義~
腸脳相関とは、私たちの腸と脳が、神経系、内分泌系、免疫系といった複数の経路を介して、互いに情報をやり取りし、影響を及し合う、双方向のコミュニケーションシステムのことです。(参考文献 [1] , [2])
まるで、司令塔である「脳」と、もう一つの司令塔とも言える「腸(第二の脳とも呼ばれます)」が、常に秘密のホットラインで会話しているようなイメージです。
例えば、ストレスを感じるとお腹が痛くなったり、逆に美味しいものを食べると幸せな気分になったりしますよね? これも腸脳相関の一端です。脳が感じたストレスは腸の働きを悪くし、腸の状態が良いと脳の機能も高まり、精神的にも安定する、といった具合に、お互いが影響し合っているのです。
この腸脳相関において、非常に重要な役割を果たしているのが、私たちの腸内に住む約100兆個とも言われる腸内細菌たちです。これらの細菌は、種類ごとにまとまって腸の壁に生息しており、その様子がお花畑(フローラ)のように見えることから「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。
腸内細菌には、体に良い働きをする「善玉菌」、悪い働きをする「悪玉菌」、そしてどちらでもない「日和見菌(ひよりみきん)」がいて、これらの菌がバランスを取りながら共存しています。このバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になると、腸内環境が悪化し、便秘や下痢といったお腹の不調だけでなく、実は脳や心の状態にも悪影響を及ぼすことが分かってきました。
ちなみに、私たちの腸内にいる細菌たちの顔ぶれは、日々の食事内容や生活習慣、さらには住んでいる地域によっても大きく異なり、日本人には日本人に合った腸内細菌のバランスがあると言われています。海外で話題の健康法や食品が、必ずしも私たち日本人にそのまま合うとは限らないのは、そういった背景もあるのかもしれませんね。(参考文献 [3])
腸内環境を整えるためには、善玉菌を直接摂取する「プロバイオティクス(ヨーグルトや乳酸菌飲料など)」と、腸内の善玉菌のエサとなる食品成分を摂取する「プレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖など)」をバランス良く摂ることが大切です。
腸脳相関を語る上で、もう一つ欠かせないのが「セロトニン」という神経伝達物質です。セロトニンは、精神を安定させ、幸福感をもたらすことから“幸せホルモン”とも呼ばれていますが、実はこのセロトニンの約90%が、なんと腸で作られているのです!
では、腸でどのようにセロトニンが作られるのでしょうか? そのカギを握るのが、私たちの腸内にいる腸内細菌たちです。セロトニンの材料となるのはトリプトファンという必須アミノ酸ですが、実は特定の腸内細菌がこのトリプトファンの代謝を助け、腸管でのセロトニン合成を促進する働きがあることが近年の研究で分かってきました。(参考文献 [4])
そして重要なのは、腸で作られたセロトニンの大部分は血液脳関門(BBB)というバリアを通過できないため、直接脳内で神経伝達物質として働くわけではない、という点です。しかし、腸内環境が整い、腸内のセロトニンが適切に作用することで、迷走神経(脳から出て内臓のほとんどの機能をコントロールする重要な神経)などを介して脳にシグナルが送られ、結果として脳内のセロトニン産生や活性に間接的に良い影響を与えると考えられています。つまり、腸内フローラのバランスが、私たちの心の安定にも深く関わっているのです。
腸で作られたセロトニンは、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促して便通を整えるだけでなく、その一部は脳にも影響を与え、私たちの気分や睡眠、食欲などをコントロールするのに役立っています。
では、ストレスや不規則な生活、偏った食事などによって腸内環境が悪化し、腸脳相関のバランスが乱れてしまうと、私たちの心身にはどのような影響が現れるのでしょうか?
これらの症状は、必ずしも腸脳相関の乱れだけが原因とは限りませんが、もしあなたが長引く不調に悩んでいるとしたら、一度「腸の健康」という視点から見直してみる価値はあるかもしれません。
「じゃあ、どうすれば腸内環境を整えて、腸脳相関を良い状態に保てるの?」
ご安心ください!特別なことをしなくても、日々のちょっとした心がけで、あなたの腸は元気を取り戻し始めます。
私たちの腸と脳が、こんなにも密接に関わり合い、心身の健康に大きな影響を与えているなんて、少し驚かれたかもしれませんね。
「腸脳相関」の研究はまだ発展途上であり、日々新しい発見が報告されています。しかし、一つ確かなことは、腸を大切にすること、つまり腸内環境を整えることが、脳の健康、そして心の安定、さらには全身の健やかさに繋がるということです。
もしあなたが、原因の分からないモヤモヤや不調を感じているのなら、まずはご自身の「お腹の声」にそっと耳を澄ませてみてください。そして、今日からできる小さな「腸活」を始めてみませんか?
その一歩が、あなたの心と体を、そして未来を、より明るく輝かせるきっかけになるかもしれません。
皆さん、こんにちは、ブログアシスタントのとろです! 今回の「腸脳相関」のお話、いかがでしたか?私たちの脳と腸が、こんなにも深く、そしてお互いに影響し合っているなんて、なんだか神秘的で、自分の体の中にもう一つの賢い相棒がいるみたいですよね。
難しく考えずに、まずは今日の食事に美味しい発酵食品を一品加えてみたり、ゆっくりお風呂に入ってリラックスする時間を作ってみたり、そんな本当に小さなことから始めてみませんか? あなたの腸を大切にする優しい一歩が、きっとあなたの心と体の元気、そしてスッキリとしたクリアな頭脳に繋がっていくはずです。「とろLabo」は、そんな皆さんを心から応援していますね!
【主な参考文献】