リジン(Lysine)とは? 組織修復と抗ウイルス作用を担う必須アミノ酸

リジン(Lysine)とは? 組織修復と抗ウイルス作用を担う必須アミノ酸

はじめに

リジン(Lysine / L-リジン)とは、人体を構成するタンパク質の材料となるアミノ酸の一種であり、体内で合成することができない「必須アミノ酸」の一つです。

生体内では、組織(コラーゲン)の修復やカルシウムの吸収促進、抗体やホルモンの生成など、生命維持のベースとなる重要な役割を担っています。 また、医療や栄養学の分野においては、アルギニンと拮抗することで単純ヘルペスウイルス(HSV)の増殖を抑える「天然の抗ウイルス成分」として広く知られており、サプリメントとしても高い需要を持つ物質です。

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1. 【定義と特徴】食事から摂取すべき第一選択

  • 定義:
    人体を構成する20種類のアミノ酸のうち、体内で生成できない9種類の必須アミノ酸の一つ。塩基性アミノ酸に分類され、水に溶けやすい性質を持ちます。
  • 第一制限アミノ酸としての歴史:
    米や小麦などの穀物にはリジンの含有量が非常に少なく、肉や魚などの動物性タンパク質に多く含まれます。かつて米食中心だった日本人の食生活において最も不足しがちだったため「第一制限アミノ酸」と呼ばれ、戦後の栄養改善における最重要課題とされた物質です。

2. 【生理機能】組織の修復と免疫の要

① 組織の修復とコラーゲン生成

ビタミンCと共に働き、皮膚、骨、軟骨、血管を構成する主要タンパク質である「コラーゲン」の合成を強力にサポートします。傷の治癒を早め、肌や髪の健康を保つために不可欠な機能です。

② カルシウムの吸収促進

腸管からのカルシウム吸収を助け、骨への沈着を促す働きがあります。これにより、骨粗鬆症の予防や成長期の発育にも深く関与しています。

🛡️ 【コラム】ヘルペスウイルスを「兵糧攻め」にする

リジンの最もユニークな特徴は、別のアミノ酸である「アルギニン」と、腸管での吸収や細胞への取り込みを競合(奪い合い)するという性質です。

口唇ヘルペスなどを引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)は、自身の増殖のために大量の「アルギニン」をエサとして要求します。 血中のリジン濃度を高く保つと、ウイルスはエサであるアルギニンを取り込めなくなり、結果として増殖がストップします。これがリジンによるヘルペス予防の科学的なメカニズム(拮抗作用)です。


3. 摂取源とバランス

  • 多く含まれる食品:
    肉類(豚肉・鶏肉など)、魚介類(カツオ・サケなど)、乳製品(チーズ・ヨーグルト)、大豆製品(納豆・豆腐)。
  • 摂取のポイント:
    ヘルペス予防の観点からは、単にリジンを摂るだけでなく「リジンを多く、アルギニンを少なく」という比率(リジン・アルギニン比)を意識することが重要になります。