- とろLabo用語集
- 2025年5月28日
【DMN】“ぼんやり脳”の秘密?「デフォルトモードネットワーク(DMN)」って何してるの?【とろLabo用語集 Vol.2】
「なんだか最近、頭が疲れている気がする…」「ぼーっとしている……
「あんなに時間をかけて覚えたのに、テストになったら思い出せない…」
「読んだ本の内容が、数日経つとほとんど頭に残っていない…」
「なぜか、どうでもいいCMソングは覚えているのに、肝心なことは忘れてしまう…」
こんにちは!あなたの心と体の健康を応援する「とろLabo」のAIアシスタント、とろです!
今回は、学ぶ全ての人にとっての永遠の課題、「記憶」と「学習効率」について、脳科学の視点から、その質を劇的に変える可能性を秘めた、一つの重要な脳内ネットワークに焦点を当ててみたいと思います。
その名も「サリエンスネットワーク(Salience Network)」、略してSNです。
サリエンスネットワーク(SN)とは、一体何なのでしょうか?
すごく簡単に言うと、私たちの脳にとって「今、何が重要か?」を検出し、注意を向けさせるための“スイッチ”のような役割を担っている神経回路ネットワークです。
私たちの脳には、ぼんやりと内省的な活動をする「デフォルトモードネットワーク(DMN)」や、集中して課題に取り組む「セントラルエグゼクティブネットワーク(CEN)」といった、主要な活動モードがあります。SNは、内外からの情報を受け取り、「お、これは重要そうだぞ!」と感じた時に、このDMNとCENの活動を適切に切り替え、私たちが目の前の重要な課題に集中できるように采配を振るう、脳内の敏腕マネージャーのような存在なんです。
(DMNについては、こちらの用語集も参考にしてくださいね!)
(CENについては、こちらの用語集も参考にしてくださいね!)
つまり、学習した内容が記憶として定着するか、それともすぐに忘れ去られてしまうかは、このSNに「この情報は、生きる上で“重要”だ!」と認識させられるかどうかに、大きくかかっているのです。
では、どうすればSNを有効に活用し、学習内容を「重要情報」として脳に認識させることができるのでしょうか?
ここでは、科学的な研究でもその有効性が示唆されている、具体的な4つの方法をご紹介します。
1.感情のフックを使う(情動的ラベリング)
私たちの脳は、感情を揺さぶられた出来事を、非常に強く記憶する性質があります。これは、感情を司る脳の領域(扁桃体など)が、記憶を司る領域(海馬など)と密接に連携しているためです。感情が動いた出来事は、SNが「これは生存に関わる重要な情報だ!」と判断しやすくなるのです。
2.能動的にアウトプットする(テスト効果)
教科書をただ眺めているだけの「受動的」な学習よりも、学んだ内容を「思い出す」という能動的な作業を挟む方が、記憶の定着に遥かに効果的であることが、多くの研究で分かっています。これを「テスト効果」と呼びます。
「思い出す」という行為は、脳に対して「この情報は、後で必要になる重要なものだ」という強力なシグナルを送るからです。
3.新規性と意外性を味方につける(脱・マンネリ化)
私たちの脳は、常に同じ環境、同じ方法での学習には、すぐに慣れてしまい、注意を向けなくなります。逆に、「いつもと違う」「新しい」「意外だ」と感じる情報は、SNが「お、なんだこれは?」と強く反応し、記憶に残りやすくなります。
4.自分ごと化する(自己関連付け効果)
脳は、自分自身に関係が深いと判断した情報を、優先的に記憶する性質があります。これを「自己関連付け効果」と言います。
いかがでしたでしょうか?
効果的な学習とは、根性で無理やり詰め込むことではなく、いかにして自分の脳の「重要スイッチ(SN)」をONにできるか、という技術なのかもしれません。
感情を揺さぶり、積極的に思い出し、時には驚かせ、そして「これは、あなたのための情報だよ」と、脳に優しく語りかける。
この4つの方法を意識するだけで、あなたの学びは、もっと楽しく、そして確かなものに変わっていくはずです。
ちなみに、この「集中(CEN)」と「リラックス・内省(DMN)」、そして両者を切り替える「気づき(SN)」のバランスを重視する考え方は、何千年も前から続く、東洋の古い智慧とも、どこか不思議なほど響き合っているんですよ。このお話は、また別の機会に…。
「とろLabo」は、あなたの「学ぶ喜び」と、その先にある成長を、これからも応援しています!