- とろLabo用語集
- 2025年6月13日
【精】生命力の源『精(せい)』とは?~東洋医学が教える究極のアンチエイジング~【とろLabo用語集 Vol.10】
「最近、なんだか年のせいか、疲れやすくなった気がする…」「物……

BDNF(Brain-Derived Neurotrophic Factor:脳由来神経栄養因子)とは、脳内で合成・分泌されるタンパク質の一種であり、神経細胞(ニューロン)の成長や維持を助ける重要な物質です。
ハーバード大学の精神科医ジョン・レイティ博士によって「脳の肥料(Miracle-Gro for the brain)」と形容されたように、新しい神経細胞を生み出し(神経新生)、シナプス結合を強化する働きを持っています。 記憶力や学習能力の向上、さらにはメンタルヘルスの維持に不可欠な、脳のアンチエイジング因子について解説します。
BDNFはホルモンではなく、「液性タンパク質(成長因子)」に分類されます。
定義:
神経成長因子(NGF)の仲間である「ニューロトロフィンファミリー」に属するタンパク質。 1982年に豚の脳から発見され、現在ではヒトを含む多くの哺乳類の脳で確認されています。
主な局在と分泌:
主に記憶の中枢である「海馬(Hippocampus)」や、思考を司る「大脳皮質」、および「前脳基底部」で高濃度に合成されます。 神経活動(ニューロンの発火)自体が刺激となって分泌が促進されるという特徴を持っています。
BDNFの役割は、既存の脳細胞を守り、新しい回路を作ることです。
① 神経新生(Neurogenesis)の促進
神経幹細胞の分化を促し、新しいニューロンを誕生させる働きがあります。 かつて「脳細胞は死滅する一方で再生しない」と考えられていましたが、海馬においてはBDNFの作用により、成人後も神経新生が可能であることが証明されています。
② シナプス可塑性(LTP)の強化
神経細胞同士のつなぎ目であるシナプスの形成を助け、情報の伝達効率を高める「長期増強(LTP)」を誘導します。 これにより、短期記憶が長期記憶へと定着しやすくなり、学習能力や問題解決能力が向上します。
③ 神経保護作用(Neuroprotection)
酸化ストレスや虚血、低血糖といったダメージから神経細胞を保護し、細胞死(アポトーシス)を防ぐシールドのような役割も果たしています。

どうすればBDNFを増やせるのでしょうか? 最もエビデンスレベルが高い方法は、サプリメントではなく「有酸素運動」です。

ランニングなどで心拍数を上げると、脳への血流が増加し、筋肉から分泌されるマイオカイン(FNDC5/イリシン)などが脳に作用して、海馬でのBDNF発現量を劇的に増加させることが分かっています。 「運動した後に頭がスッキリして勉強が捗る」のは、脳内に肥料が撒かれた状態だからです。
うつ病の原因は「セロトニン不足」だけではなく、「BDNF不足による海馬の萎縮」にあるとする説(神経栄養因子仮説)が有力視されています。
慢性的なストレスを受けると、コルチゾールがBDNFの合成を阻害します。 その結果、神経細胞が栄養失調になり、シナプスが脱落して意欲や思考力が低下します。 近年の抗うつ薬治療や運動療法は、このBDNFレベルを回復させることを目的の一つとしています。
逆にBDNFを減らしてしまう要因も判明しています。
BDNFは、私たちの脳が変化し、成長し続けるための「物理的な材料」です。
年齢とともに自然減少する傾向にありますが、運動や適切な環境刺激によって、その分泌量はコントロール可能です。
「学習」と「運動」。
この両輪を回すことが、脳という臓器を一生現役で使い続けるための、最も科学的なメンテナンス方法と言えるでしょう。