- 健康・ライフハック
- 2025年7月7日
【東洋医学の入口】あなたの体は、いつも“おしゃべり”している。~四診で読み解く、心と体からのメッセージ~
「なんだか調子が悪いけど、病院に行くほどじゃないかな…」「言……
私たちの心の中には、まるで会議室のように、様々な「自分」が存在しています。
未来を夢見る自分、冷静に判断する自分、目の前の作業に没頭する自分、本能的に何かを察知する自分、そして、困難に立ち向かう自分…。
古代中国の賢者たちは、この心の働きを「五神(ごしん)」という、5つの個性的なキャラクターとして捉えました。そして驚くべきことに、その役割分担は、現代の脳科学が解き明かしつつある、脳の機能分担と、不思議なほど一致するのです。
今回は、あなたの心に住む“5人の自分”の正体に、東洋医学と脳科学の両面から迫ります。
東洋医学では、私たちの精神活動は、「肝・心・脾・肺・腎」という5つの臓器(五臓)に宿る、5つの「神」が担っていると考えます。
では、この5人の責任者たちは、現代の脳科学で言うところの、どの機能に対応するのでしょうか。
「魂」が、未来を構想したり、過去を振り返ったりする働きは、私たちがぼーっとしている時に、自己や未来についてシミュレーションする脳のネットワーク「DMN」の働きと、驚くほど似ています。
五神全体を統括し、冷静な判断を下す「神」の役割は、まさに脳の最高司令官である「前頭前野」そのものです。感情の暴走を抑え、理性的な思考を保つ、意識の中心です。
目の前の課題に集中し、情報を記憶・処理する「意」の働きは、「ワーキングメモリ」や、目標達成のために行動を管理する「実行機能」と深く関連しています。
痛みや快感といった原始的な感覚や、危険を察知する本能的な反射を担う「魄」は、生命維持の基本的な機能を司る「脳幹」や、恐怖などの情動に関わる「扁桃体」といった、脳の古い層の働きと結びつきます。
「これを成し遂げたい」という強い意志や、やる気を司る「志」は、モチベーションの源泉である「報酬系(ドーパミン)」や、記憶を司り、意志力を支える「海馬」の働きと考えることができます。
この5人のバランスが崩れると、心に不調が現れます。
古代の賢者たちは、脳スキャンなしに、心の働きをここまで正確に、そして詩的に捉えていました。
あなたの心に住む“5人の自分”。彼らの声に耳を澄まし、それぞれのバランスを整えてあげること。それが、真の心の健康への道しるべとなるのかもしれません。
そして、最終章となる第四部では、この「五神」が、私たちの4タイプ診断と、どう結びつくのかを探っていきます。
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