

「最近、物覚えが悪くて……」
「子供の頃は、教科書を丸暗記できたのに……」
そんなふうに、自分の記憶力の低下を嘆いていませんか?

結論から言いましょう。
あなたが丸暗記できなくなったのは、脳が劣化したからではありません。
10歳前後で、脳のOS(学習システム)が「高機能版」にアップデートされたからです。
今回は、この「10歳の壁」の正体と、私たち大人の脳(論理脳)だけが使える、最強の学習ハックをお伝えします。
脳科学の視点:9歳までの「テープレコーダー」と、10歳からの「編集者」
人間の脳は、10歳(小学4年生)前後を境に、情報の処理方法が劇的に変化します。
〜9歳:感覚学習期(最強のテープレコーダー)
この時期の脳は、理屈抜きに「見たまま、聞いたまま」をコピーする能力に長けています。意味がわからなくても、耳から入った音をそのままオウム返しで記憶できる「丸暗記の天才」です。
10歳〜:論理学習期(敏腕の編集者)
10歳を過ぎると、抽象的な思考回路が発達し、「なぜそうなるの?」という「理屈(ロジック)」を求めるようになります。
これに伴い、脳は効率化のために「理解できないもの=ノイズ(ゴミ)」と判断して、記憶から削除するフィルター機能を身につけます。

大人が丸暗記できないのは、あなたの脳内にいる「敏腕編集者」が、「意味のわからない情報はのせない!」と却下しているから。
これは劣化ではなく、高度な情報処理能力への「進化」なのです。
戦略:大人の脳(論理脳)をハックする「エモーション・タグ」の実践法
では、この厳しい編集者(論理脳)の検閲を突破して、記憶に残すにはどうすればいいのでしょうか?
鍵は2つ。「理屈(納得感)」と「感情(エモーション)」です。
特に重要なのが「感情」です。海馬は「心が動いた出来事」を優先的に保存します。
ここでは、勉強に感情をタグ付けする具体的なステップを紹介します。

ステップ1 「推し」の力を借りる(好きのタグ付け)
教科書の例文(This is a pen.)には感情が動きません。だから覚えられません。
教材を「あなたの好きなもの」に変えてください。
映画・アニメが好きなら
好きなキャラの名言を英語で覚える。
料理が好きなら
英語のレシピ動画を見る。
歴史が好きなら
その時代の背景ストーリーから入る。
「知りたい!」「尊い!」というプラスの感情がタグ付けされた瞬間、脳のフィルターは「これは重要情報だ!」と認識し、一発で記憶します。
ステップ2 「エア授業」を行う(緊張のタグ付け)
インプットした知識は、誰かに説明(アウトプット)することで定着します。
ここでおすすめなのが、お風呂やトイレで「架空の生徒に向かって授業をする」ことです。
- 「いいか、ここにはこういう背景があってだな…」
と声に出して説明してください。
「うまく説明しなきゃ」という適度なプレッシャー(感情)と、声に出すという身体感覚がセットになり、記憶の定着率は黙読の数倍に跳ね上がります。
【コラム】10歳の英語学習:なぜ「聞き流し」が効かなくなるのか?
英語が苦手な原因はなんでしょうか?
英語の早期教育を受けていないこと? いいえ、違います。
10歳以降の学習の土台となるのは、「日本語での論理的思考力」です。

9歳までなら「英語のシャワー(聞き流し)」で音を覚えられましたが、論理脳になった10歳児にとって、意味のわからない英語の音声はただの「雑音」です。脳が全力で拒絶します。
「母語(日本語)で深く考えられないことは、第2言語(英語)でも理解できない」
これが言語習得の鉄則です。
もしお子さんが英語でつまずいているなら、焦ってドリルを買い与えるよりも、まずは日本語でたくさん会話をし、知的好奇心を育ててあげてください。
「これってどういうこと? 面白い!」と日本語で論理的に考える力が育てば、それは必ず英語学習の最強の「土台」になります。
まとめ:大人の勉強は「納得」から始まる
「昔のように覚えられない」と嘆く必要はありません。
私たちは「丸暗記」という子供の武器を捨て、「理解」という大人の最強の武器を手に入れたのです。

・理屈で納得する。
・好きという感情を乗せる。
この2つさえあれば、脳は何歳からでも劇的に成長します。
さあ、大人の学びを楽しんでいきましょう。















