一晩中氷が溶けないタンブラーがあるのをご存知ですか?
普通、溶けますよね?
夏なんて特に暑いから、10分で溶けちゃうことだってありますよね。
でも、なぜか溶けないようになっているようなんです。
今回は、そのメカニズムを紹介します。
なぜ、氷は溶けるの?
氷が溶けないメカニズムの前に、まずは、氷のことについて少し確認していきたいと思います。
水は、1気圧の環境で、気温が0℃を下回ると氷になります。
ちなみに、1気圧下で、99.974℃になると、水は沸騰しますが、この温度を沸点と言います。
ついでに、水が凍ると、体積が約10%増えるそうなのですが、これは、水特有の性質だそうです。
多くの液体では、個体になると体積は減るので、とても不思議な液体なんですね。
https://www.suntory.co.jp/eco/teigen/jiten/science/01/
まあ、とりあえず、水では、「0℃」というのが、液体と個体の境界になります。
個体が液体に変化する温度のことを融点と呼びます。
氷が溶けるのは、0℃を上回るからなんですね。
ただ、融点に達すると、急に液体に変わるのかというと、そういうわけではありません。
基本的には徐々に溶けていきます。
逆に言えば、氷は、完全に溶けるまで「0℃」をキープし続けるわけです。
例えば、40℃のお湯に氷を入れたとします。
このとき、氷は、周りの熱を奪いながら徐々に溶けていくわけですが、氷そのものの温度が0℃を超えて10℃、20℃となっていくことはないんです。
0℃のままで周りを冷やし続けながら溶けていくんです。
「氷が溶けないタンブラー」の氷はなぜ溶けないの?
結論から言うと、
「タンブラーの壁面が真空構造になっているから」
です。
氷が「溶けない」とは言っても、正確には、「完全に溶けない」わけではなく、極めて「溶けにくい」ということになります。
ちょっと表現が正確ではないんですが、コップに入れた氷水の氷が2、3時間しても溶けてなければ「溶けない」カウントしてもいいですよね。
ところで、タンブラーの壁面が真空になっていることで、外気温の影響を受けにくくなり、結果として氷が溶けにくくなるわけです。
なぜ、真空は熱を伝えにくいの?
真空だと、なぜ、熱が伝わりにくくなるんでしょうか?
そのメカニズムの前に、「真空」と「熱の伝わり方」を説明します。
真空とは
物質が全く存在しない空間。人為的には作り出せず,実際はごく低圧の状態をいう。宇宙空間もほとんど完全な真空に近いが,それでも微量の星間物質が存する。
スーパー大辞林
タンブラーの壁面の真空も、もちろん、完全真空ではなく、極めて気圧の低い状態ということになります。
大雑把に、気圧とは、空気分子の密度で決まります。
密度が高ければ気圧も高くなり、密度が低くなれば気圧も低くなります。
つまり、真空は、空気分子が少ない状態となります。
空気分子同士がぶつかると、熱が発生しますが、気圧が低ければ分子が衝突する頻度も減るので熱が発生しにくくなります。
熱の伝わり方
熱が伝わる方法には、伝導、対流、放射の3種類があります。
[伝導]
伝導は個体に熱が伝わっていく現象です。
例えば、鉄の棒を火で炙り続けると、その熱が棒全体に伝わってきます。
フライパンも、底面しか火で炙られていないのに、時間が経つと全体が熱くなります。
これが「伝導」です。
[対流]
液体や気体などを介して熱が移動し伝わる現象が「対流」です。
例えば、お湯を沸かすとき、温められた水は上へ、温度の低い水は下へ移動します。
お湯を沸かすときは、これがくり返されて水全体が加熱され、お湯が沸きます。
[放射]
電磁波によって熱が伝えられる現象が放射です。
例えば、太陽の熱が地球に届き、地球を温めていますが、これは放射によるものです。
太陽から放射された赤外線が地球に届くことで、熱が伝わるわけです。
反射式ストーブもこれと同じ原理です。
真空が熱を伝えにくい理由
真空は、伝導と対流による伝熱をしにくくします。
タンブラーの壁面に真空の層を作ることで、手の熱や外気温が伝導や対流によってタンブラーの中身に伝わりにくくなります。
ただ、真空では、放射線は防げません。
そのため、真空の壁では、赤外線の放射による熱の移動は防げません。
電磁波はどうやったら防げるの?
メカニズムはよくわかりませんが、電磁波を遮蔽してくれるものが身の回りに色々あるようです。
アルミホイルは結構な勢いで電磁波を遮蔽してくれるみたいで、スマートフォンをアルミホイルで包むと、Wi-FiやBluetoothの電磁波を遮蔽してくれるみたいです。
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/korekori/1012284.html
https://qiita.com/jaguti/items/99e9a85661d3187c8c14
まとめ
・真空による伝導、対流対策
・アルミのような電磁波を遮蔽してくれるものを使っての放射対策
以上の2点で氷が一晩中溶けないほどの熱特性が作り出されているんですね。
温度の影響を受けないようにしたいのであれば、アルミホイルを活用するといいですよ。
私がこの記事を書いたよ!
テリー
いつも自由にやらせてもらってますが、最近、健康のことにも気を使わないとなと思い、ブログを書きながら、自分自身も健康に対する意識を高めてみようかなと考えています。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を持っているので、体のことや健康のことにはそれなりに詳しいです。 なぞなぞと手品が大好きです。
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