【交渉術】「YESかNOか」で答えを迫られた時の、賢い切り返し方3選

【交渉術】「YESかNOか」で答えを迫られた時の、賢い切り返し方3選

「で、結局やるの、やらないの?」「イエスかノーか、ハッキリしてくれ」

ビジネスシーンや日常で、このように二者択一を迫られ、言葉に詰まった経験はありませんか?本当は「条件付きYES」や「第3の選択肢」があるのに、相手の圧力に負けて、不本意な答えを選んでしまう…。

今回は、そんな思考停止の圧力を華麗にかわし、対話の主導権を握り返すための、大人の知的交渉術を解説します。

【第1章】なぜ相手は「YES/NO」を迫るのか?その心理的ワナ
相手が二者択一を迫るのには、理由があります。

  • 主導権を握りたい: あなたの思考時間を奪い、自分の有利な土俵で話を終わらせようとしています。
  • 問題を単純化したい: 複雑な状況を考えるのが面倒で、「白か黒か」で手っ取り早く結論を出したい、という思考の怠惰の表れでもあります。
  • あなたを試している: あなたが圧力に屈するかどうか、その対応力を見ている場合もあります。

この背景を理解するだけで、相手の言葉に感情的に反応せず、冷静に対処する第一歩となります。

【第2章】なぜ「YES/NO」で答えてはいけないのか?「二項対立」という名の罠
相手の土俵に乗って「YES」か「NO」のどちらかで答えた瞬間、あなたは交渉の主導権を失います。なぜなら、「YES」か「NO」以外の、あなたにとって最も有利な選択肢が存在する可能性を、自ら放棄することになるからです。

これは「二項対立の罠」と呼ばれるものです。相手が仕掛けた「AかBか」というフレームの中から答えを選ぶのではなく、まずそのフレーム自体を疑い、無効化する必要があるのです。

【第3章】実践!知的交渉術としての「切り返し」3パターン
ここがこの記事の核心です。具体的な切り返し方を、会話例と共に紹介します。

①「条件付きYES」で、逆にボールを投げ返す

相手の要求を飲む「可能性」を示しつつ、そのための「条件」を提示し、相手に判断を委ねる手法です。

  • 会話例:
    • 相手: 「この案件、来週までにできる?YESかNOで答えて」
    • あなた:もし、〇〇のデータを本日中にいただけるのであれば、YESです。その条件がクリアできれば、来週までに可能です」

②「第3の選択肢」を提示し、議論の次元を変える

相手が提示した二択そのものを無効化し、より優れた選択肢を提示することで、議論をリードする手法です。

  • 会話例:
    • 相手: 「A案とB案、どっちにするか決めてくれ」
    • あなた:YES(A案)でもNO(B案)でもなく、実はC案が最適だと考えています。なぜなら…」

③「相手の真の目的」を問い、協力者になる

相手の要求の裏にある「本当の目的」を汲み取り、その目的を達成するための、より良い方法を提案する高度なテクニックです。

  • 会話例:
    • 相手: 「とにかく、この機能はつけるんだな?YESかNOか」
    • あなた: 「〇〇さんの一番の目的は、『ユーザーの満足度を上げること』ですよね。その目的なら、この機能をつける(YES)/つけない(NO)の議論より、〇〇という別の方法が、より効果が高いかもしれません

【まとめ】
目的は、相手を言い負かすことではありません。
「YESかNOか」という不毛な対立から抜け出し、「どうすれば、お互にとって最善の結果になるか」という、建設的な協力関係へと議論を導くこと。

それが、あなたの心と評価を守る、大人のための交渉術なのです。