【悪用厳禁】あなたの「もったいない」を最強の継続力に変える方法|サンクコストバイアス活用術

【悪用厳禁】あなたの「もったいない」を最強の継続力に変える方法|サンクコストバイアス活用術

前回の記事では、私たちの合理的な判断を狂わせる「サンクコストバイアス」の呪いを断ち切るための「防御術」について解説しました。

しかし、もしこの厄介な脳のクセを、自在に操れるとしたら?
もし、あの強力な「もったいない」という感情を、あなたの目標達成を後押しする最強の武器に変えられるとしたら、どうでしょう。

この記事では、サンクコストバイアスの本質を逆手に取り、あなたの「続けたいこと」を「やめられないこと」に変えるための、少し危険で、しかし非常に強力な「活用術」をお伝えします。

【おさらい:サンクコストバイアスとは?】
まず簡単におさらいです。サンクコストバイアスとは、「すでに取り戻せないコスト(サンクコスト)」を惜しむあまり、損失を出し続けると分かっていても、その行動をやめられなくなる心理現象のことでしたね。(詳しくは前回の記事【損切りできないあなたへ】サンクコスト・バイアスの呪いを断ち切る3つの科学的方法』をご覧ください!)

このバイアスの根源には、「一度始めたことはやり遂げたい」という、人間の強力な本能が隠されています。

【バイアスを逆手に取る「ポジティブな呪い」】
「活用術」の基本的な考え方は、非常にシンプルです。
それは、「達成したい目標に対し、あらかじめ『回収不可能なコスト』を意図的に支払っておく」というものです。

これにより、サンクコストバイアスが強制的に発動。「これだけ投資したんだから、やらないともったいない!」という強力な心理的拘束力が生まれ、未来の自分が挫折しにくくなるのです。

これは、未来の自分にかける「ポジティブな呪い」と言えるでしょう。

【今日から使える!サンクコスト活用術3選】

活用例1:『学習』を続けるための「金銭的サンクコスト」
英語の勉強や資格取得を始めたいなら、月々払いのサービスより、あえて高額な教材を最初に一括で購入したり、返金不可の長期講座に申し込んだりしましょう。「これだけ払ったんだから」という気持ちが、サボりたい気持ちに打ち勝ち、あなたを机に向かわせる強力な動機となります。

活用例2:『運動』を習慣化する「身体的+金銭的サンクコスト」
ジム通いを続けたいなら、思い切って結果にコミットする高額なパーソナルジムに入会し、数ヶ月分の料金を前払いします。さらに、初日にハードなトレーニングで筋肉痛という「身体的コスト」を支払うことで、「あんなに辛い思いをしたのに、ここでやめるのはもったいない」という気持ちが芽生え、継続率が格段に上がります。

活用例3:『目標』を公言する「社会的サンクコスト」
友人や家族、SNSなどで「今年中に〇〇を達成します!」と公言しましょう。これは、あなたの「社会的評価」や「信頼」をサンクコストとして差し出す行為です。もし途中で諦めれば、あなたは「口だけの人」という不名誉な評判を得ることになります。この「後に引けない状況」が、あなたに最後までやり遂げる力を与えてくれるのです。

【注意点:本当に望む未来のために】
この活用術は非常に強力ですが、一つだけ注意点があります。それは、必ず「自分が本当に達成したい目標」に対してのみ使うことです。間違っても、他人にやらされていることや、本心では望んでいないことに使ってはいけません。それは本当の「呪い」になってしまいますからね。

【まとめ:バイアスを制する者は、未来を制す】
サンクコストバイアスは、過去に私たちを縛り付ける「呪い」であると同時に、未来の自分を動かす「起爆装置」でもあります。

前回の「防御編(盾)」でその呪いから身を守る術を学び、今回の「活用編(矛)」で目標を達成する武器を手に入れました。

この「盾」と「矛」を使いこなし、脳のクセを理解し、そして乗りこなすこと。
それができれば、あなたはきっと、自分が望む未来をその手で掴み取ることができるはずです。