【雑学】お酒に弱いってどういうこと?〜お酒に弱い3つのタイプ

【雑学】お酒に弱いってどういうこと?〜お酒に弱い3つのタイプ

お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる、お酒を飲むとすぐに頭が痛くなる、お酒の匂いを嗅いだだけでふらふらしてくる。
「お酒に弱い」といってもいろいろな「弱さ」があります。
そして、「お酒を飲み続けることでアルコールに強くなる。」というような話もあったりします。
今回は、お酒に弱い体質の3つのタイプと、「お酒を飲み続けるとアルコールに強くなる」が本当かどうかを説明していきたいと思います。

そもそもお酒が「強い」とか「弱い」とかってどういうこと?

まず、アルコールの「強さ」について説明します。
アルコールに「強い」とは、
「アルコールの分解に関係する2つの酵素の活性が高い」ということです。
つまり、
「アルコールを分解する能力が高い人」=「アルコールに強い人」
ということです。

アルコールはどうやって分解されるの?

アルコールの分解には2つの分解酵素の働きが必要になります。
それが、

  • アルコール脱水素酵素(Alcohol dehydrogenase:ADH)
  • 2型アルデヒド脱水素酵素(Aldehyde dehydrogenase 2:ALDH2)
    です。
    ところで、余談ですが、
    「お酒=アルコール」というイメージがあると思います。
    「アルコール」といってもいくつか種類があります。
    エタノール(エチルアルコール)、メタノール(メチルアルコール)、プロパノール(プロピルアルコール)などです。
    お酒のアルコールといえば、エタノールを指します。

お酒を飲むと、胃や小腸でアルコールが吸収されます。
吸収されたアルコールは、その粘膜周囲の静脈に入っていきます。
そして、門脈(門静脈)という血管を経て、肝臓に運ばれます。

肝臓では、アルコール脱水素酵素の働きで、アルコールがアセトアルデヒドに分解されます。
そして、アセトアルデヒドは、2型アルデヒド脱水素酵素によって酢酸に分解されます。
「酢酸」は酸っぱいやつでお馴染みですが、これが脂肪や筋肉で消費されたり分解されたりして、「アルコールの分解」が終了します。

「アルコール」が分解されないとどうなる?

アルコールは肝臓で酢酸に分解されますが、酵素の働きが弱かったり、アルコールの量が多かったりすると、肝臓でアルコールを分解しきれなくなります。
分解しきれなかったアルコールがいろんなところに作用することで「酔っ払う」という状態になります。

アルコールが脳に到達すると、まず、大脳皮質(新皮質)に作用し、その機能を低下させます。

大脳皮質の機能が抑えられると、大脳皮質によって抑制されていた大脳辺縁系の働きが活性化します。
これが「ほろ酔い」や「酩酊」の状態です。

さらに、アルコールが回ると、大脳辺縁系の機能や小脳の機能が低下します。
これが「泥酔」状態です。

そして、さらにアルコールが回ると、脳幹の機能が低下します。
これがいわゆる「急性アルコール中毒」の状態です。

大脳皮質の機能が低下する「ほろ酔い」状態では、開放感や爽快感が得られるので、楽しくお酒が飲める状態なのですが、それ以上アルコールが回ると、記憶を無くしたり、意識を失ったりとあまり良くない状態になっていきます。

アルコールは適量だとストレスを発散させる薬になるかもしれませんが、多すぎると命にも関わってくるわけです。

アセトアルデヒドは何をするの?

アセトアルデヒドは、毒性のある有害物質です。
アルコールを分解する過程で出てくる物質ですが、これも、酵素の活性が弱かったり、分解するアルコールの量が多すぎると、アセトアルデヒドの血中濃度が高まってきます。

アセトアルデヒドは、顔が赤くなったり、動悸、吐き気、頭痛、二日酔い、胸焼け、胃もたれ、胃痛の原因になります。

また、アセトアルデヒドは、タバコの煙にも多く含まれていて、「がん」の発生にも関係しているようです。

お酒に弱い体質のタイプ

アルコール脱水素酵素の活性が低いタイプ

アルコールが分解できないので、脳の機能が低下しやすくなるタイプです。
お酒を飲むとすぐにテンションが上がったり、性格が変わったりしやすいく、記憶を失いやすいタイプです。

2型アルデヒド脱水素酵素の活性が低いタイプ

アルコールは分解できるけど、その際に出てくる代謝産物であるアセトアルデヒドがうまく分解できないタイプです。
ちょっとお酒を飲んだだけで顔が赤くなったり、頭が痛くなったり、吐いたりするタイプです。

どちらの酵素の活性が低いタイプ

完全にお酒が弱いタイプです。
少量のお酒でもふらふらになり、ひどい二日酔いにも襲われるので、お酒のメリットを全く得られないタイプです。

気をつけないといけないタイプ

3つのタイプのうち、2つ目と3つ目は、お酒の弱さを自覚しやすい上に、周りから見ても弱そうに見えるので、問題ありません。(ないわけではないですが。)
しかし、1つ目のタイプはどうでしょうか。
アルコールの分解速度がゆっくりなので、その代謝産物のアセトアルデヒドの濃度が高くなりにくいわけです。
そうすると、顔が赤くなったり、頭が痛くなったり、二日酔いになったりといったことが起こりにくいので、「お酒の弱さ」を自覚しにくいんです。
さらに、記憶を失いやすいので、お酒を飲んで楽しかった思い出だけが残っているような傾向にあります。
本当はお酒に弱いのに、「お酒が好き」という状態です。

そのため、アルコール依存症になりやすかったりもするので、お酒を飲んでテンションが上がりやすいタイプの人は、注意が必要です。

飲むとお酒に強くなるのは本当?

半分嘘です。
お酒を飲み続けることで、酵素の活性が高まるということはありません。
しかし、脳のアルコールに対する感受性が低下するということが起こるので、ふらふらしにくくなったり、記憶を失いにくくなったりするといったことは起こってきます。
また、お酒を毎日飲んでいると、「CYP2E1」というアルコール分解酵素が分泌されるようになるため、そういった点でお酒に強くなります。

なので、お酒を飲み続けてもアルコール脱水素酵素や2型アルデヒド脱水素酵素の活性が高まることはありませんが、脳のアルコールに対する感受性が低下したり、別のアルコール分解酵素が分泌されるようになるため、お酒に強くなったように感じるわけです。

まとめ

アルコールの分解に関係する酵素は2つあり、どちらの酵素の活性が低いのかによって、酔っ払い方が違います。
アルコール脱水素酵素の活性が低いタイプは、お酒を飲むとすぐにテンションが上がり、記憶を失いやすいタイプです。
2型アルデヒド脱水素酵素の活性が低いタイプは、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなり、比較的早い段階で頭痛や吐き気に襲われ、二日酔いになりやすいタイプです。
前者のタイプは、お酒に弱い自覚がない可能性もあり、アルコール依存症になりやすい傾向にあるので、注意が必要です。
また、お酒を飲み続けても、2つの酵素の活性が変わるわけではありませんが、脳がアルコールに反応しにくくなったり、別の酵素が一時的に分泌されるようになるため、お酒に強くなったように感じることがあります。
いずれにしろ、お酒の「適量」を意識し、楽しくお酒を飲むようにしましょう。

私がこの記事を書いたよ!

テリー

いつも自由にやらせてもらってますが、最近、健康のことにも気を使わないとなと思い、ブログを書きながら、自分自身も健康に対する意識を高めてみようかなと考えています。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を持っているので、体のことや健康のことにはそれなりに詳しいです。 なぞなぞと手品が大好きです。

トップへ