「ぼー」っとした方がひらめきやすい!

 頭のいい人からはいろんなアイデアが出てくる。

 そんなふうに思いこんでいませんか?

 自分にはひらめく力はないとか思っていませんか。

 そんなことはありません。

 誰でもアイデアマンになれるんです!

 ただ、ひらめくためのメカニズムを知っておくと、よりひらめきやすくなるかもしれません。

 今回は、ひらめくメカニズムを紹介します。

 結論から言うと、「ぼー」っとすることです。
 

1 「ぼー」っとしているときに活動するのがDMN

 脳には、いろいろな働きをする場所があります。その中に、デフォルトモードネットワーク(default mode network)にという領域があります。

 これは、脳の内側前頭前皮質(ないそくぜんとうぜんひしつ)や後帯状皮質(こうたいじょうひしつ)という場所で作られるネットワーク(神経回路)です。

 ”default mode network”の頭文字をとって、「DMN(でぃーえむえぬ)」とも呼ばれます。

 特に何もやることがなく「ぼー」っとしているときに活動しているネットワークです。

2 「ぼー」っとしていても脳は働いている!

 『「ぼー」っとしている時に活動する。』

 というと、「なにもしてないじゃんか。」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 とても働き者なんです。

 それでは、少し実験をしてみましょう。

 これから30秒間、「ぼー」っとしてみてください。 

 どうでしたか?

 いろんな「こころの声」が聞こえませんでしたか?

 「いま何時だっけ?」とか「ご飯何食べよう?」とか「今日の金曜ロードショーはナウシカだっけ?」とかいろんな声が頭の中で飛び交っていませんでしたか?

 この状態をマインドワンダリング(Mind-wandering)といいます。

 マインドワンダリングとは、心が、「今この瞬間」に起こっていることに注意を向けないで、目の前のこととは全く関係のないことを考えている状態のことです。

http://www.e-ainet.com/mindwandering.html

 授業中に、「今日の給食は何かな?」とか、授業と全く関係ないことを考えるのもマインドワンダリングですね。一度くらいは経験がありますよね。

 ところで、このマインドワンダリングという状態ですが、1日のうちの30〜46%を占めるそうです。

 ということで、「ぼー」っとしていても、脳が働いていることがわかりましたね。

3 やっぱり何もしてなくない?→そんなことはありません!

 授業を聞かずに給食のことを考えてしまうマインドワンダリングですが、ちゃんと仕事をしているんです。

 それが、『記憶の整理と記憶の定着』です。

 私たちの身の周りにはいろんな情報があります。

 そして、その情報を処理しながら日常生活を送っています。

 例えば、インスタントラーメンを食べるのだっていろんな情報を処理しないといけません。

 インスタントラーメンの作り方に関する情報、お湯の沸かし方に関する情報、箸の使い方に関する情報、麺の啜り方に関する情報などなどです。

 でも、この情報って、いちいち確認しませんよね?

 なぜでしょう?

 それは、「記憶」しているからです。

 日常生活に必要な情報を脳が記憶しているので、インスタントラーメンを食べるとき、お湯の沸かし方を毎回確認しなくてもいいんです。

 記憶には短期記憶と長期記憶があり、学習する過程で短期記憶→長期記憶と移行していき、それに伴って、記憶の加工やグループ分け、削除などが行われるそうです。

https://wired.jp/2015/07/31/brain-get-too-full/

 日常生活のいろんなことが、パッとできるのは、情報を処理して、学習し、記憶しているからなんですね。

 つまり、『記憶の整理と定着』を行うマインドワンダリングは、とても大事な脳の活動状態なんです。

4 DMN(デフォルトモードネットワーク)の働き

 『ひらめき』は、DMNが活動した結果起こる現象です。

 DMNはぼーっとしたり、いらんことを考えたりなどしていますが、「記憶の整理と定着」のために必要な脳内ネットワークです。

 記憶を処理する過程で、記憶と記憶を結びつけ、その結果、「ひらめく」んです。

 刺身とマヨネーズ、あんことマーガリン、プリンとスフレ、、、世の中のいろんなひらめきは、ある記憶とある記憶のまさかの結びつきなんです。

5 お風呂やトイレがひらめきやすい!

 ひらめきはDMNが活動した結果起こる現象です。

 だとすれば、ひらめきたければDMNを活動させればいいんです。

 DMNを働かせるためにはどうすればいいか?

 それが、
 『「ぼー」っとする。』です。

 そして、それができるのが、お風呂やトイレなんです。

 ここは、日常生活の中で比較的何もすることがなく(やってはいますが…)、比較的リラックスできる場所です。

 また、ここでひらめこうと思考するのもいいかもしれませんが、理論上、「ぼー」っとすることでひらめくことができます。

 ただ、この時のひらめきは、結構ふわっとしている傾向があるので、お風呂やトイレから出たらすぐにメモができるように準びをしておくといいかもしれませあんよ。

6 ひきこもりと病み

 ここまでDMNのことを紹介してきましたが、最後に、ちょっと気を付けてほしいことをお伝えします。

 「DMNが過剰に活動すると、病みやすい」

 ということです。

 ヒトの性なのか、自然の中で暮らしていたときの名残なのか、いずれにしても、「生き残ること」が脳のシステムの根本にあるようです。

 そのため、成功体験よりも失敗体験の記憶が残りやすくなっているみたいです。

 そうすることで、危険を回避し、生存率を高めているんですね。 

 そのため、ネガティブな感情と記憶が結びつきやすくなっています。 

 三日間くらい引きこもってぼーっとしていると、DMNが活動しすぎてネガティブな感情がどんどん引き出されてしまうんです。

 「病み」状態になってしまうわけですね。

 なので、その点には十分に気をつけていただきたいと思います。 

 ただ、逆に、何かしら辛いことがあって、ネガティブな精神状態になっているときは、DMNが活動しやすい状態でもあるので、何かしら「ひらめきやすい」というメリットもあります。

 もし、ひらめきたい時、そして、ネガティブな時が重なったら、チャンスですので、メモをすぐに取れる状態にしておくといいかもしれませんね。

まとめ

reading

 ひらめきたいときは、お風呂かトイレで。

 失恋した時、辛いことがあった時、そんな時は、ひらめきのチャンスと考えよう!

引用文献

1 慢性疼痛とマインドフルネス ―注意機能に関わる脳内ネットワークの観点から―
  山本 彬貴 渡辺 明日香 木村 一志  (2021年1月8日受稿)

2 記憶について
  https://wired.jp/2015/07/31/brain-get-too-full/

私がこの記事を書いたよ!

テリー

いつも自由にやらせてもらってますが、最近、健康のことにも気を使わないとなと思い、ブログを書きながら、自分自身も健康に対する意識を高めてみようかなと考えています。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格を持っているので、体のことや健康のことにはそれなりに詳しいです。 なぞなぞと手品が大好きです。

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